矯正治療とは
咀嚼とは食べ物を細かく噛み砕き、唾液と混ぜ合わせる働きをいいます。咀嚼が十分に営まれるには、歯はもちろんのこと、唾液の分泌、嚥下機能(舌の運動)、顎関節などの協同作業が重要となります。そのためには食べ物を噛み切るための前歯と食べ物をすりつぶす臼歯が正しく配列し、上下の歯が正常に咬合することが大切です。
近年、豊食から飽食、そして崩食の時代へと変化し、子供たちの食習慣の乱れによる健康への影響が心配され、食育が求められています。現代の子供たちの大好きな食事は、軟らかいものばかりです。軟らかい食べ物ばかり食べていることにより、噛まない子、噛めない子が増えています。その結果、顎の発育や形態に変化がおき、不正咬合(歯並びの悪い状態)の増加や全身に対して、さまざまな弊害が生まれています。
矯正治療とは、このような歯並びの悪い状態を治し、審美的改善のみならず、口腔の機能と形態を正常にしていくものであります。それにより美しく、健康な笑顔と身体を手に入れることができるのです。
美しい口元とは

リラックスしている際には、オトガイ(下あごの先)での緊張はなく、自然に上下の口唇を閉鎖しています。笑顔の際、前歯の並び(スマイルライン)も美しいものとなっています。上下口唇は鼻尖とオトガイを結ぶエステティック・ライン(E-line)より後方に位置しています。
矯正治療はいつ始めるのがベストか?
異常に気が付いたらなるべく早く、矯正歯科医にご相談されることをお勧めします。お子様の場合、顎と歯の成長を観察しながら、一番よいタイミングで治療を開始していきます。日本やアメリカでは、年齢的に7歳ぐらいから開始することが勧められています。
矯正治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等と伴うことがあります。数日間から1、2 週間ぐらいで慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性もあります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- マルチブラケット装置での治療中は装置の周辺の歯が磨きにくくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。そのため丁寧に磨き、定期的なメンテナンスを受けることが重要となります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根の吸収を生じて短くなることがあります。また、歯肉がやせて下がることもあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないこともあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することもあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることもあります。
- 治療中に「顎関節部分に音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることもあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置の大きさによっては誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部に破損する生じる可能性もあります。
- 装置撤去後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りを生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。